文壇では

いろいろ評価が分かれているらしいですけど、俺は文壇なにそれ、ジャンル分けわからん、分析できねぇ、な人なんで、ミステリがどうとかオカルトがどうとか、そういうことは言えません。
まぁ、これがラノベかどうかという判断なら、俺にも出来るので、一つ。
この小説は、解説の笠井潔氏も述べている通り、平井和正菊地秀行ライトノベル伝奇という軸線上になりたつものであることは確か。
ただし、その軸線上のどの位置に立っているかとなると、俺は平井和正菊地秀行の狭間に立っていると思う。
平井和正よりは読みやすく、菊地秀行よりは重い。
そして内容は昨今のライトノベル伝奇に見られる、箱庭世界。自分の視線が届く世界のストーリー。このムーヴメントは、平井和正氏も敏感に察知して取り入れ、まだ本として書店で売られていた『ボヘミアンガラスストリート』や『月光魔術團』では、舞台を街一つや学園にのみ固定し、視線が届く箱庭だけで話を展開していたように記憶している。
話が脱線してしまったが、つまるところ、現代の風潮を持ちながら先祖がえりをしてしまった小説が、この空の境界という小説の正体ではないのかと想像する。ライトノベル、という言葉がない時代の小説に先祖がえりをしてしまったライトノベルである。
なるほど、これでは評価に困るわけである。
まぁ、そんなわけで話は前後してしまうが、平井和正氏の書く小説も、現在の視点で捕らえればラノベに分類されてもおかしくはなく、その進化の直線状にある空の境界もまた、ラノベに分類されるのではないかと。
かなり強引だが、そう考える次第。