PT小説の出だしのイメージだけが頭の中でリフレイン

そんなわけで、ざくざくと。
         *      *      *
「入学式だっるー」
「やってらんないよねー」
「そうそう。長ったらしいのよ、学院長のしゃべりってさー」
 倉光女学院小等部から、中高等部への編入式兼入学式を終えた学園長の一階廊下。
 私の隣を早足で歩くクラスメイトは、口々に文句を言ってる。
 有名私立女子学院のはずなんだけど、通ってる生徒の口から出てくる言葉は汚い。
 その乱暴な言葉遣いを聞いて、うんざりした私。
 ため息をつくと、私は、開け放たれている廊下の窓から外を眺めた。
 突然、風が吹いて、桜の花びらが何枚か廊下にはいる。
「きゃっ!」
 長い私の髪が、風にまかれて乱れる。
 反射的に俯き、慌てて髪の毛が目や口に入らないようにおさえた。
 それでも、何本かの髪の毛が目に入りそうになったので、反射的に目を瞑る。
 突然の風はすぐにおさまった。
 私は乱れた髪の毛を撫でながら顔を上げ、もう一度外を見た。
 桜の木がそこにはあった。ちりぎわの桜で、さっきの風が花びらを散らしてしまったみたいだ。花びらを散らした桜の木は、少しさびしく見える。
 そして、桜の側には、あの人が立っていた。
 あの人――私が通う中高等部生徒会長の、早坂凛さん。
 中高等部ではトップランクの美少女さん。憧れている生徒は多くて、実は私もその口。
 でも、この出会いが、私の学院生活を一変させるとは、この時の私にはは想像することすら適わなかった。